20代前半で良く知られるようになった写真家の話を見聞きしてきたが、その成功体験には深い挫折が伴っていることがしばしばある。共通するのは、そのとき彼らは、相応の言葉を持っていなかったということ。
プレゼンテーションや解説の技術の優劣ではない。自身が作ったものを理解するための、あるいはその作品を制作するに至った動機を考える、いわば内省するための言葉だ。それを足掻きながら獲得していく過程で、写真家としての確立があり、過去の作品さえなお成長を遂げるように思える。
作品を発表するのは他者にその存在を知らせる為だが、自身が第一読者となり、図らずも作品が表してしまったものを見出すためでもあるだろう。
自分自身への問いかけとしての発表、ということを大事にしてほしいですね。近々展覧会を決めた、若い人からの連絡を受けて、そんなことを考えたしだいです。