クリエイターの仕事はどう変わっていくのか?AI生成物の修正がもたらす新たな現実
AIで広告などの制作コストの削減を目指す企業は増えている。ただ、AIだけで実際に商業利用できる品質に仕上げることは難しそうでもある。それを見られるものにするためには、人間の判断と修正技術が必要とされるケースが多い。
少し前だが、ザ・ガーディアンの記事「フリーランスは『魂のない』AIの粗悪な成果物の後始末に追われている――『こんなことをしなければならないのは残念だ』」は、生成画像を修正するという、新たなクリエイティブ市場について書いている。
ただし、ありがちな話なのだが、AIで制作費を削減したいクライアントは、修正作業だけなら安くあげられると期待する傾向も強い。だが、実際は作り直した方が早いというケースもあるというのは、当然なことだろう。
AIの限界と人間のモデレーション
やがてAIで、AIが作った成果物を修正できるようになるだろうか。そう考える人も多いが、個人的には難しいだろうと思う。例えばSNSでも、その投稿が適切かどうかを判定するコンテンツモデレーションは完全にAIで代行できず、数万人のモデレーターがチェックをしている。EUでは、その強化をプラットホーム企業に求めさえしている。一方、Metaなどはその大部分をAIに置き換えるという計画を初披露している。
AIの画像認識を強化するために、SNSから写真を集めてデータセットを作る過程でも、人間が写っているモノを判断して分類する作業をしている。これらの報酬もまた安い。記事では以下のような例を紹介している。
「クライアントは報酬を不当に低く見積もり、一部のAI生成デザインは欠陥があまりにひどく、最初から作り直さなければならなかった。さらに、AIによる著作権侵害に自分も加担してしまうのではないかという懸念もあった。年末までには、こうした仕事を断るようになった」
それでもこのクリエイターのもとに修正依頼は届き続けているという。
今後クリエイターに求められる資質
今後については、2つの見方がある。まず、AIがさらに進化して、モノによってより自動化が達成できるというもの。もう一つは、それでも各段階に人間のクリエイターが関わり、最終的なチェックを行わねばならないというもの。いずれにしても言えるのは、クリエイターに求められる資質は、より高度なものになるはずだ。
記事はリサというグラフィックデザイナーの次の言葉で締めくくられている。
「AIによって自分の仕事がなくなる事態に備えて、リサには計画がある。
グラフィックデザインの仕事に就く以前に取り組んでいた、キャンバスや水彩画などの物理的な画材を使う制作に、再び取り組み始めたのだ。
彼女は、あと『1~2年もすれば』、AIは自分と同じくらいの水準でロゴやパッケージをデザインできるようになると予測している。その結果、デザインの仕事で生計を立てられるのは『最高のなかの最高』の人々だけになるという。
『デジタルの世界で生き残れるほど、私は優秀なのかどうかわかりません』と彼女は語った」