書店でなんとなく気になった本を買ってみた。タイトルは『東京となかよくなりたくて』(月と文社)で、「大人向け絵本」というらしいです。
ちょっと80年代シティポップ風のイラスト(わかりますかね?)に、ごく短いモノローグの小説50篇が収録された本です。どれも地方から上京してきた人たちが経験しがちな、恋愛とか仕事とか、街の風景とかにまつわるお話でした。寂しさと、解放感を同時に抱えた気分を書き、描いている。
当方も同じく、地方出身者なので、なんとなく分かるなぁという感想を持ちました。とは言え、すでに還暦を迎え、地元に帰るという選択があり得ないタイプの仕事を細々続けているわけです。
それでも上京した20代前半のことは、良いことも悪いことも、そのどちらでもないこともわりと鮮明に覚えている。いや、この心細さと解放感という本音はずっと変わんないように思えたりします。だから、この本に書かれ、描かれていることがわりと親しく感じたんでしょうね。
幾つかの学校で新入生を相手した講義が始まったわけですが、目の前に座っている人たちのなかには、もちろん上京してきた人も多い。
大教室での講義ですから、それぞれの素性など見えませんが、時々はこの空の下でお互い頑張ろうなと思ったりしているのです。