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デジタルカメラ、始まりの文書

2026-03-03||鳥原 学
コダックのスティーブ・サッソンが1976年に発表した技術レポート「A Hand-held Electronic Still Camera and its Playback System」(手持ち式電子スチルカメラとその再生システム)」。彼が開発した世界初のデジタルカメラについて。
この時、サッソンは弱冠24才。フェアチャイルド・セミコンダクターがテストで制作した1万画素のCCDの性能をテストせよと言われ、「じゃあカメラ作ってみるか!」と勝手に決めている。予算がつかなかったので、社内を漁り光学系はスーパー8から、アナログデジタル変換器は電圧計から流用したとのことで、自由な会社だったんだなと思う。
こういう資料を直に読めるようになった、ということに感慨を覚えたり。
「光に晒されたシーンからの反射光による感光性乳剤中の潜像の生成は、静止画写真の創設以来の基礎となってきた。二番目に主要な必要なステップは、可視化するために潜像を現像することである。カメラの役割は、フィルムを保持し、シーンをフィルム上に結像させ、露光を制御する手段を提供することである。フィルムは通常、現像ステップのためにカメラから取り出される。現像後、写真はプリントまたはスライドの形で保存される。
いくつかの分野における電子技術の動向は、近い将来、静止画のキャプチャと表示の実用的な代替方法が可能になる可能性があることを示す。この代替カメラでは、シーンは感光性集積回路の表面に結像され、それが光画像を電子信号パターンに変換し、それが磁気テープに保存される。画像を見るためには、テープは再生ユニットで再生され、信号パターンを繰り返しのテレビ信号に変換し、視聴のためにTVモニターに送ることができる。この技術の理解を深め、コンセプトの実現可能性を実証するために、1975年の技術を使用して電子カメラと再生システムが設計・構築された」
「図2に示されている再生ユニットは、マイクロコンピューターをその制御要素として備えている。このコンピューターは、画像情報をそのメモリシステムに取り込み、従来のテレビフォーマットと互換性があるようにそれを再配置する。その後、コンピューターはダイレクトメモリアクセス (DMA) モードに入り、コンピューターメモリから情報が繰り返し取り出され、「全米テレビジョンシステム委員会」 (NTSC) 標準信号に形成される。1枚の画像を読み込み、表示のために情報を再配置するのに30秒かかる。その後、画質を劣化させることなく、希望する限りテレビに画像を表示することができる」
「本レポートで記述されたカメラは、技術の進歩に伴い、将来写真が撮影される方法に実質的な影響を与える可能性のある写真システムを実証する最初の試みを表している。消費者のための将来のカメラは、非常に低照度の条件下でカラー写真を撮影できる小型デバイスとして構想されるかもしれない。画像は、再生のためにカメラから取り外し可能な、不揮発性のソリッドステートメモリ上の磁気媒体に保存されるだろう。画像は、少なくとも今日の110フィルムに匹敵する解像度を持つだろう。画像の描写を助けるために、画像とともに音声が記録されるだろう。電子形式で存在する画像は、ほとんどまたは全く変更なしに、従来の通信チャネルを介して送信できるだろう。光学フィルターを変更することにより、可視光写真と同様に赤外線写真も同じカメラで可能になるだろう。写真はフィル、テープ、またはビデオディスクに保存され、カメラの記憶媒体は再利用されるだろう」