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砂守勝巳展が開催されるとのこと

2020-02-04||鳥原 学

砂守勝巳さんの展示が、二つの会場で行われることになった。

2月22日から始まる埼玉の丸木美術館での「黙示する風景」と、3月の新宿ニコンでの「CONTACT ZONE」だ。前者は雲仙普賢岳の大規模噴火被災を捉えた連作を椹木野衣さんが、後者は自身の出自を追った『漂う島、とまる水』をベースに石川直樹さんが、それぞれ再構成している。なんだか、とても感慨深い。

砂守さんは2009年に亡くなられ、私はそのしばらく後、奥さんと娘のかずらさんに話を伺う機会を得た。そのとき、かずらさんは「父の写真のことを伝えていきたい」と語っておられた。
じっさい、そのためにずいぶん励まれて来られたようだ。通信制の大学と大学院で美術を学び、その卒論と修士論文として、父のことをテーマにされている。

手元にある「CONTACT ZONE」の開催を伝えるリリースには、石川さんが「没後10年が経過した今、かずら氏の強い想いを起点に、未発表作を含めて写真を精査し、新たに展示する運びになった」と書いている。作品を伝えたいという言葉が、こうして人を動かしている。

有言実行、すごいことだ。

さて、写真家の遺族で、著作物や資料の整理と活用に頭を悩ませる人は少なくない。誰もがかずらさんのように取り組めるわけでもないのだ。その場合、オークションや古書店を通じて手放すこともひとつの手段だと思う。市場で価格がつき、コレクターの手に渡れば大事にされるだろうし、人から人へと受け継がれる可能性も出てくるからだ。