Birdsinc

古民家の輸出と再生 NYTの記事から

2026-08-12||鳥原 学

いま、古い建物を再生するリノベーションが注目されるなか、日本の古民家が海外へ移築され、住宅や工房、スパ施設などとして再利用されることが増えているという記事。日本国内での事例は知っているが、輸出されているとは知らなかった。
例えばアメリカでは「Kominka North America」などの事業者や保存活動家が、日本の古民家を解体して輸入し、住宅や工房、ADU(付属住宅ユニット)などへ再生している。カリフォルニアでは日本の古民家を移築した公共の施設があり、ジャマイカでは新潟県の古民家を現地の気候に合わせて改築し、ゲストハウスへリノベーションする計画も進められている。

日本では、人口減少や高齢化によって空き家が増え、古民家の維持も難しくなっている。価値を認められず解体される古民家が少なくない一方、海外では古い梁や伝統的な木造構法が高く評価されている。
日本側では「危機に瀕した建物を海外に移築することは、それらを救うための最後の手段となることが多い」という声が紹介されている。海外に移築されるということは、建築技術も移転され、現地に残ることになるので、まずは歓迎すべきか。

記事からの一部引用
「ボストン郊外に住む、引退した木造建築職人のビリー・ディロンは、納屋などの古い建物を移築する豊富な経験を持っていた。2023年、愛知県の古民家を訪れた際にその職人技に『少し畏敬の念を抱いた』彼は、同様の家を木材破砕機から救いたいと決意した。そこで彼は、いくつかの古い建物の解体と輸入の監督を始め、最終的には仲間の木造建築職人であるアダム・ミラーと共に『Kominka North America』という会社を立ち上げた。」
「古い家を輸入して美しい住居に生まれ変わらせることができれば、それは私にとって魅力的なことです」と、コミンカ・コレクティブのカールソン氏と資材調達やデザインで頻繁に協力している70歳のディロン氏は語った。「そうすれば、人々は再びそこに住めるようになります。クラは、家族や祖父母など、あらゆる人が住むためのADU(付属住宅ユニット)としてちょうど良い大きさです。」
「建築家であり古民家保存活動家でもある滝下義弘氏は、日本国内だけでなくハワイやアルゼンチンなどの海外にも古民家を移築してきた経験から、『近年、危機に瀕した建物を海外に移築することは、それらを救うための最後の手段となることが多い』と述べている。
『民家は国境を越える絶大な力を持っており、政治や宗教とは全く関係ありません』と、1960年代の洪水で谷が水没した際に自宅を救われた鎌倉の滝下氏(80歳)は語る。『新しい所有者がその家の価値を理解し、この重要な歴史的遺産が保存される限り、それが日本国内であろうと海外であろうと、場所は関係ありません。』