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MoMA 写真部門の新たなチーフ

2026-06-03||鳥原 学
『ニューヨークタイムズ』で、ニューヨーク近代美術館の写真部門のチーフキュレータに、カリフォルニア・オークランド博物館の副館長を務めるマケダ・ベストの就任が決まったことを報じる記事が出ていた。
要約すると、同職が決まるの4年ぶりで、2020年から2022年までクレマン・シェルーが務めた後は専任が不在となっていた。ベストは自身も写真家であり、カリフォルニア芸術大学でラン・セクラに師事したとのこと。だとすれば、その方針はかなりリベラルなものになるのかもしれない。彼女のこれまでの研究やキュレーターとしての活動では、主にドキュメンタリーやソーシャル・フォトグラフィー(社会派写真)に焦点を当ててきたが、今後は「写真の種類を広げたい」と意欲を示して、デジタルメディアの影響にも向き合おうとしているとのこと。
記事中にある彼女のコメントは以下の通り。
「この部門は、暗黙のうちに、あるいは明確に、私たちが写真というメディアをどう理解するかに対して、非常に大きな影響を与えてきた」
「(初代の写真部門長である)エドワード・スタイケンは、自身が築き上げたFSA写真のコレクションについて『アメリカをめぐる議論そのものだ』と語っていました。その考え方は、キュレーターとしての私に本当に大きな影響を与えています。私は、コレクションから大きな物語を紡ぎ出すことに、並々ならぬ情熱を注いでいる人間なのです」
「美術館が(部門ごとではなく)コレクション全体に写真を融合させた展示手法をとっているのは、とても気に入っています。キュレーターが何を選ぶかという実際の選択が、より鮮明に浮かび上がってきますし、そのプロセスは私にとって刺激的です」
「写真は常に危機に瀕し、常に自らを問い直してきたメディアです。それこそが写真の歴史なのです。ですから、ある意味で今は、私たちが写真という分野として、またメディアとして、自分たちが何者であり、それが何を意味するのかを理解しようとしている、新たな局面なのだと思います」

「観衆もまた、これまでとは違うものを求めていると感じています。『気が散っている(集中力が続かない)』と捉えることもできますが、別な見方をすれば、単なる『コンテンツ』以上の何かを探しているのだと思います。彼らが求めているのは、体験であり、つながりなのです。ただ壁に作品を掛けるだけでは、もう通用しないのです」

個人的には「写真は常に危機に瀕し、常に自らを問い直してきたメディアです。それこそが写真の歴史」という発言がもっともうなずける。どんな方向性に引っ張っていくのか、楽しみにしよう。